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UI/UX改善の進め方|Webサイトを継続的に最適化する実践手順

Webサイトを公開した後、「CVR(Conversion Rate:訪問者のうち問い合わせや購入などの目標行動に至った割合)が伸びない」「直帰率が高いまま改善されない」という状況は、規模を問わず多くの企業に起こり得ます。
問題の多くは「デザインが時代遅れ」ではなく、「どこでユーザーがつまずいているかを把握できていない」ことにあります。

本記事では、LP(ランディングページ:特定のコンバージョン目標に特化した単一ページ)単体のコピー・構成設計や大規模リニューアルのプロジェクト進行とは切り口を変え、サイト全体を対象とした継続的なUI/UX改善サイクルの実践手順を解説します。
UI(User Interface:ユーザーが操作する画面・ボタン・レイアウトなど視覚的・操作的な要素)とUX(User Experience:サイト利用を通じた体験全体の質)を体系的に評価し、改善を積み重ねるこのプロセスが、CVR向上の本質的なアプローチです。

「作って終わり」が生む構造的なUI/UX課題

Webサイトを制作・公開することと、成果を出し続けることは別の活動です。
公開直後は一時的にトラフィックが増えても、半年後には直帰率(Bounce Rate:ページを1つだけ見て離脱した訪問者の割合)が高止まりし、コンバージョン数が伸び悩む——こういった状況の背景には、「改善のサイクルを持っていない」という構造的な問題があります。

一度の大規模リニューアルに予算と時間を集中させるアプローチには、2つのリスクがあります。
第一に、制作段階ではユーザーの実際の行動を十分に把握できないため、公開後に想定外の摩擦(フリクション)が発生しやすいこと。
第二に、完成後に「改善フェーズ」が設けられないまま運用に移行するため、課題が積み上がっても手を打てない状態が続くことです。

一方、継続的なUI/UX改善の考え方は、PDCA(Plan-Do-Check-Act:計画・実行・評価・改善を繰り返す業務改善の基本サイクル)やOODA(Observe-Orient-Decide-Act:観察から意思決定・実行までを素早く回す高速サイクル)とも親和性が高く、組織として変化への対応力を内製化できるというメリットがあります。

ステップ1:ヒューリスティック評価で課題を体系的に洗い出す

改善の第一歩は、サイトを体系的な視点で診断することです。
この際に活用したいのが、UXの専門家であるヤコブ・ニールセン氏が提唱したニールセンの10ヒューリスティクスです。
「システムの状態を常に可視化する」「ユーザーが操作を制御できる余地を残す」「エラーを未然に防ぐ」など10の評価原則に沿ってサイトを点検することで、ユーザーテストを実施する前の段階でも、多くの構造的な問題を発見できます。

ヒューリスティック評価で発見されやすい課題の例を挙げます。

  • CTA(Call To Action:問い合わせや資料請求などの行動を促すボタン・リンク)の視認性が低く、次の行動に進みにくい
  • フォームのエラーメッセージが不親切で、ユーザーが修正方法を把握できない
  • ページ間の遷移導線が不明確で、目的のページへたどり着けずに離脱を誘発している
  • スマートフォン表示でのタップ領域が小さく、操作ミスが起きやすい

ヒューリスティック評価の利点は、「ユーザーを集める前に課題仮説のリストを作れる」点にあります。
次のステップで紹介するユーザーテストの設計精度を上げるためにも、最初に実施しておく価値があります。

ステップ2:ユーザーテストで仮説を実態に照らし合わせる

ヒューリスティック評価はあくまで専門家の視点による診断です。
実際のユーザーが「どこでつまずき、どう感じているか」を把握するには、ユーザーテストが欠かせません。

ユーザーテストには、司会者が同席してユーザーの行動・発言をリアルタイムで記録する「モデレートあり形式」と、オンラインツールで行動データをリモート収集する「モデレートなし形式」があります。
5〜8名程度を対象とした小規模テストでも、サイト上の主要な問題を効率的に発見できると指摘されています(ニールセン・ノーマン・グループの研究知見より)。中小企業でも取り組みやすい調査手法です。

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①テストシナリオは「タスク」として設計する

「このサイトを見てどう思いますか?」のような漠然とした問いではなく、「問い合わせフォームから資料請求をしてください」のような具体的なタスクを設定します。
タスクの達成率と詰まりポイントが、改善の優先度を決める根拠になります。

②思考発話法でユーザーの内声を引き出す

思考発話法(Think Aloud:操作しながら頭の中で考えていることを声に出してもらう手法)は、数値データでは見えない「なぜ迷うのか」「なぜ不安を感じるのか」を把握するのに有効です。
「ボタンがどこにあるかわからない」「入力項目が多すぎて不安」などの発言が、UIの具体的な問題点を示す手がかりになります。

③ヒートマップ・セッション録画を補助的に活用する

HotjarやMicrosoft Clarityなどのツールを活用することで、実際のユーザーのクリック位置・スクロール深度・離脱箇所を可視化できます。
ユーザーテストと組み合わせると、定性・定量の両面から課題を立体的に把握できます。

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これらの調査・評価プロセスを自社だけで設計・運用するのが難しい場合は、外部専門家と伴走するマーケティング戦略顧問のような支援体制を検討することも、有効な選択肢の一つです。

ステップ3:優先度マトリクスで改善候補を絞り込む

ヒューリスティック評価とユーザーテストを経ると、改善候補が10〜30件程度リストアップされることがあります。
しかし、すべてを一度に対応しようとすると工数が分散し、成果が見えにくくなります。

ここで有効なのが、優先度マトリクス(Impact × Effort Matrix:影響度と実施コストの2軸で課題を分類し、着手順序を決める手法)です。
「影響度が高く、実施コストが低い」課題(Quick Win)から優先的に着手することで、限られたリソースで最大のUI/UX改善効果を引き出せます。

  • 優先着手(High Impact × Low Effort):CTAボタンの文言変更、フォームの入力ステップ削減など
  • 計画的実施(High Impact × High Effort):ナビゲーション構造の見直し、ページ間導線の再設計など
  • 余力で対応(Low Impact × Low Effort):軽微なコピー修正、画像の差し替えなど
  • 保留(Low Impact × High Effort):技術的負債の解消など、別の機会に回す

この分類により、経営リソースが限られる企業でも、最小の投資で最大のUI/UX改善効果を引き出す優先順序を設計できます。

ステップ4:A/Bテストで改善効果を定量的に検証する

改善案を本番環境に反映する際には、A/Bテストを活用することで、変更の効果を定量的に検証できます。
A/Bテストとは、同一ページの2つのバージョン(現行のAと改善案のB)を実際のトラフィックに対してランダムに表示し、CVRや滞在時間などの指標で優劣を比較する手法です。

A/Bテスト設計の基本原則は、「1回のテストで変更する要素は1つに絞る」ことです。
複数の要素を同時に変えると、どの変更が効果をもたらしたかを特定できなくなります。

また、テスト結果の判断には統計的有意性(Statistical Significance:偶然ではなく施策の効果によって結果が生まれたと言える確率。一般的に95%以上を目安とする)の確認が必要です。
サンプル数が不足したまま「Bの方が良かった」と判断すると、誤った施策を継続するリスクがあります。
VWOやOptimizely、AB Tastyなど、中小企業でも比較的導入しやすいA/Bテストツールが揃っています。

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株式会社ORORAでは、Webサイトのユーザー調査・ヒューリスティック評価から継続的な改善サイクルの構築まで、実務に即した形でご支援しています。

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継続的改善を支える:KPI設計と定期レビューの仕組み

UI/UX改善の取り組みを継続させるには、成果を可視化するKPI(Key Performance Indicator:目標達成に向けた進捗を測る重要指標)の設計と、定期的なレビュー体制が欠かせません。

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改善施策の効果を追跡するために設定したい代表的な指標を以下に示します。

  • CVR:改善の最終目標。短期的に変動しやすいため、補助指標と合わせてトレンドで見る
  • 直帰率(Bounce Rate):ランディングページのUI課題を示す代理指標
  • スクロール深度・滞在時間:コンテンツへの関与度を示す
  • タスク完了率:ユーザーテストで設定したタスクの達成率
  • NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度。「このサービスを他者に勧めるか」を0〜10点で評価し、体験全体の品質を把握する指標)

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これらの指標を月次または四半期ごとにモニタリングし、「仮説 → 施策 → 結果」を一元管理する改善ログを蓄積することで、組織としてのUI/UX改善ノウハウが内製化されていきます。

まとめ:UI/UX改善は「サイクルを回す仕組み」を持つことが本質

UI/UX改善は、一度のリニューアルや単発の施策で完結するものではありません。
「ヒューリスティック評価 → ユーザーテスト → 優先度整理 → A/Bテスト → 効果測定」という継続的な改善サイクルを組織に定着させることが、中長期でのCVR向上と顧客体験の質的な差別化につながります。

本記事で紹介した手順を参考に、まず自社サイトのヒューリスティック評価から着手してみてください。
「何を改善すべきか」が言語化されるだけで、次のアクションへの道筋が大きく変わります。

なお、LP単体のコンバージョン設計については「LPの作り方|コンバージョンを高める構成設計のポイント」を、大規模リニューアルの進め方については「Webサイトリニューアルの進め方|失敗しない手順と注意点」もあわせてご参照ください。

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