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事業戦略の立て方とは?策定プロセスを4ステップで解説

事業戦略とは何か――「計画」との本質的な違い

「事業戦略を立てなければ」と感じながらも、何から手をつければよいか迷う方もいるのではないでしょうか。
まず、事業戦略の定義を明確にしておきましょう。

事業戦略とは、企業が限られたリソースをどこに集中させるかを規定する「意思決定の軸」です。
単なる目標設定や年度計画とは異なり、「何をやらないか」を決めることにその本質があります。

戦略が曖昧なまま経営を続けると、リソースが分散し、競合との差別化が薄れるという構造的な課題が生じます。
逆に戦略が明確であれば、現場の判断基準が統一され、組織全体が一貫した方向に動き始めます。

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事業戦略を立てる4つのステップ

株式会社ORORAは、事業戦略の策定プロセスを以下の4ステップで整理しています。
各ステップの順序と論理的なつながりを理解することが、実践的な戦略立案の出発点となります。

ステップ1:環境分析――「いま、自社はどこにいるか」を把握する

最初のステップは、自社を取り巻く内外の環境を客観的に整理することです。
代表的なフレームワークとして、SWOT分析・PEST分析・ファイブフォース分析が挙げられます。

SWOT分析は、強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4象限で自社の現状を構造化するフレームワークです。
ただし、SWOTは「事実の整理」にとどまりやすい点に注意が必要です。
SとOを掛け合わせて「どう攻めるか」を導くクロスSWOT(TOWS分析)まで踏み込んで初めて、戦略立案の素材になります。

PEST分析は、Politics(政治・規制)、Economy(経済)、Society(社会・人口動態)、Technology(技術革新)の4軸で外部マクロ環境を整理する手法です。
業界特性によっては、Environment(環境規制)やLegal(法的要因)を加えたPESTLE分析を採用するケースもあります。

環境分析で重要なのは、「データを集めること」ではなく、「経営上の示唆を引き出すこと」です。
分析が目的化して膨大な資料を作成しただけで終わるパターンは、戦略策定が停滞する典型的な構造的原因の一つです。

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ステップ2:ビジョン・目標の設定――「どこへ向かうか」を言語化する

環境分析の結果を踏まえ、自社が目指すべき姿を言語化します。
「ビジョン」「ミッション」「戦略目標」の3層を整理することを推奨します。

ビジョンは中長期(3〜10年)の理想状態を示し、ミッションはその存在意義・社会的役割を表します。
戦略目標はビジョンを実現するための定量・定性の節目を指し、KGI(Key Goal Indicator)として設定されることが一般的です。

目標が「売上〇億円」という財務指標だけで設定されると、戦略の具体性が失われます。
財務目標はあくまで結果指標であり、それを達成するための「誰に・何を・どうやって提供するか」という問いへの答えを目標設定の中に組み込むことが重要です。

ステップ3:戦略オプションの策定と選択――「どの道で行くか」を決める

ビジョンと目標が定まったら、それを実現する戦略オプションを複数検討し、最も優先すべきものを選択します。
この段階が、事業戦略の策定において創造性と論理の両方が問われる核心部分です。

代表的なフレームワークとして以下を参照できます。

  • アンゾフの成長マトリクス:既存・新規の市場と製品の組み合わせで成長方向を整理する
  • バリュープロポジション・デザイン:顧客課題と自社提供価値の整合を確認する
  • 競争優位の源泉分析:コスト優位・差別化・集中のいずれを基本戦略にするかを定める

重要なのは、複数の戦略オプションを並べたうえで、「なぜその戦略を選ぶのか」という論拠を経営チームで共有することです。
戦略の選択は、しばしば「捨てる選択」でもあります。
何かを諦めることへの組織的な合意形成が、この段階の最大のハードルになる場合があります。

ステップ4:実行計画と評価指標の設計――「どう動き、どう検証するか」を定める

戦略は策定しただけでは機能しません。
実行計画と評価の仕組みをセットで設計して初めて、戦略は「経営の道具」になります。

実行計画では、以下の要素を明確にすることが重要です。

  • 戦略を具体的なアクションに落とした施策一覧
  • 各施策の担当者・期限・必要リソース
  • 進捗を測るKPI(Key Performance Indicator)
  • 定期的なレビューと戦略修正のサイクル(OODAループまたはPDCAサイクル)

評価指標の設計においては、「測定できることしか管理できない」という原則を意識することが重要です。
KPIを設定しても追跡されない状態が続くと、戦略の形骸化につながるという構造的なリスクがあります。
月次・四半期のレビュー会議にKPIを組み込み、経営会議のアジェンダとして常態化させることが有効な対策です。

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事業戦略の策定で陥りやすい3つの落とし穴

策定プロセスを正しく踏んでも、実践においては一定の落とし穴が生じます。
あらかじめ認識しておくことで、回避できる問題もあります。

落とし穴①:戦略が「絵に描いた餅」になる

戦略文書は完成したが、現場に浸透せず日常業務が変わらないという状況が起こり得ます。
これは、戦略立案と現場実行が分断されていることに起因します。
策定段階からミドルマネジメントを巻き込み、施策の「Why(なぜやるか)」を丁寧に共有するプロセスが重要です。

落とし穴②:外部環境変化への対応が遅れる

一度策定した戦略を固定化し、外部環境が変化しても見直さないという事態が起こり得ます。
事業戦略は「一度作れば終わり」ではなく、定期的に仮説を検証し続けるダイナミックなプロセスです。
四半期ごとに戦略前提を問い直すレビュー体制を設けることを推奨します。

落とし穴③:経営チーム内の合意形成を軽視する

経営トップだけが戦略を理解し、役員・幹部との認識が乖離している状態は、実行段階での混乱を引き起こします。
役員間での戦略解釈のズレは、部門間の方向性のバラつきに直結するという構造的なリスクがあります。
策定プロセスにおける対話の質が、実行の成否を左右する重要な要素となります。

まとめ:事業戦略は「立てること」より「動かすこと」が問われる

事業戦略の策定は、環境分析→ビジョン・目標設定→戦略オプションの選択→実行計画・評価設計という4ステップを順序立てて進めることで、論理的に構築できます。
しかし、どれほど精緻な戦略であっても、組織の中で機能しなければ意味をなしません。

株式会社ORORAは、事業戦略の策定から実行体制の構築まで、経営チームに伴走するかたちで支援しています。
「戦略を立てたいが何から始めればよいかわからない」「策定プロセスを外部の視点で整理したい」という方は、まず支援内容をご確認ください。

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